Spring is blossoming

By siki, 2019年5月9日

4月の終わりから5月にかけては、自然界の命があふれだす特別な季節。

できるだけ乾燥させて、ぎゅっと小さく押し込められていた葉の細胞に

大地から吸い上げられた水がすみずみまで行きわたる。

その葉はとても狭いところにいる必要があったために、

開きはじめは薄く繊細で柔らかく・・・

だから新緑は特別な透明感があるのだ。

 

とくに多雪地の春は、厚くふとんのように覆われた雪が融けるとともに

いっぺんに季節が進むので

待ちにまった植物たちの大きな息吹きを感じる。

 

春の1日、小谷の山あいを散策した。

スタートは、姫川温泉〜雨飾荘から。はじまったばかりの芽吹きと、融けていく雪、あらわれてくる黒い土のコントラスト。

これがまさに多雪地の植生に大きな影響を与えている、豪雪。

下層の樹木たちは「しなる」ことが運命付けられる。雪解けともに、今度はしなやかに立ち上がる。

 

そこから、いっきに標高400m付近へ降っていくと

一転、草木の芽吹きと花たちが華やかに彩る里山へ。

ここからは、Spring is blossoming!の花たちをご紹介。

チドリノキ。冬芽を包む赤みを帯びた芽鱗がまだ残っていて、アクセントに。

一度には視界に入らないほど、斜面のずーっと上までつづくいちめんのニリンソウ!

キバナイカリソウがあるかしらと思っていたら、出会ったのはイカリソウ。

どこにでもいる見慣れたヘビイチゴも、開きたて、咲きたてはまぶしいなぁ。

ツマキチョウ。羽裏のもように感嘆!風が強くてミヤマハタザオにしがみついている。

すくっと立つバレリーナのような美人さんは、春植物のキクザキイチゲ。

モミジイチゴ。荒地にたくましく育ち、みずみずしい液果をつける

Rubus属(キイチゴ属)はなんとなく元気な子どもたちのイメージ。

カスミザクラ。まさに山を彩る霞のように、ほんのり薄いピンクの花をこぼれるように咲かせている。

久しぶりに出会えたね、ナガハシスミレ。長すぎる細い距がとても不思議で惹かれるスミレ。

オクチョウジザクラはもう終わりのころ。

カスミザクラやオオヤマザクラと比べると、楚々とした控えめな佇まいが魅力。

あたりは急斜面地でケヤキ林が多い。日当たりのよいところで、ケヤキが花盛り。

歩いても出会う人はほとんどいない、

自然の世界に身を置くぜいたくな時間。

 

これこそが、いつも冬の間に夢見ている雪解けの春。

いつまでも歩いていたいような、あっというまの1日でした。

緑の濃い季節に、またきっと訪れよう。