カヤノ平のブナ林をあとにして、栄村へ。
標高は少し下って1,300mほど。緑がまだ残っている。
ここはミズナラとブナの樹林である。
森の中に足を踏み入れた時、ブナの極相林と比べると、樹種が多くなったことがわかった。森の階層の分布、葉の形、色合い、樹林の明るさ・・・さまざまな要因が重なって、そのことが感じられる。
そして人間の私は、少しほっとする。
ずっと昔に、人の手が入ったのかもしれない。(だとしたら原生林とは言えないけれど)とはいえ、かなりミズナラも大きく、長い時を経てつくられた森である。
森は雑魚川沿いに続いている。河床の岩肌は白く、流れは蒼く澄んでいる。
雑魚川沿いの急傾斜地に、針葉樹をみつけた。
モミ(左)とネズコ(右)。ネズコは周辺の同様の環境に点在していた。
ネズコは長野県内の、自然度の高い山地帯の尾根や急傾斜地に広く分布している。急傾斜地に生育することで、積雪の影響をいくらか免れているのだろう。
ここにはたくさんのブナとミズナラの実が落ちていた。たくさんのネズミたちが夜になるとせっせと実を集めているとのこと。私も少しだけブナのナッツをいただく。
帰りは志賀高原を抜けた。志賀高原は再び標高が上がって亜高山帯になる。
ダケカンバが黄金色に輝いている。その中に点在する針葉樹はオオシラビソであることを確認した。日本海側の多雪地帯はシラビソではなくてオオシラビソ。
ダケカンバの黄葉と白い樹肌、そしてオオシラビソのコントラストが美しい。