見色明心

By siki, 2019年1月7日

見色明心 しきをみてしんをあきらむ

・・・かたちあるものを見て、悟りをひらく、の意。

 

新年にふさわしい禅語をみつける。

「色」というのは物質・物理現象のことで、五感を通して感じることのすべてを指す。

般若心経の「色即是空」の「色」だ。かたちあるものは時間の中で生まれては消滅していく、変化していく、ということ。ここでは、かたちあるものにこだわりすぎるな、というニュアンスが含まれる。

一方で、

私があつかっている植物の世界は、まさに物質・物理現象の世界。花や葉のかたち、香りは?どんな性質をもっている?生育環境は? その植物独自の形態と多様性を見出し、その植物が自生する環境や来歴を読み取っていく・・・

科学の出発点はまさに「色」にあり、そこを深めることによって自然の摂理を見出していく。

そこには驚きとともに感動があり、私の感性もひらかれていく、そんなプロセスでもある。

 

悟りをひらく、という境地までには至らなくても、このことを、控えめな心持ちで「明心」と置きかえることが許されるならば。

今年は、この言葉を胸において、謙虚に自然と向き合ってみよう。

 

この言葉をみつけたきっかけは、4文字の中に私の旧姓が入っていたから。こういう偶然はちょっとした天からの贈りものに思えてしまう。そんな贈りものは科学の世界にはないのだけれど。