大改修に10年もかかったアムステルダム国立美術館。ゴタゴタの内幕がオープンに、しかも美しく見応えのあるストーリーとして映画になっている。
この映画を見ると、「民主主義」というテーマを受け取るのはなぜだろう?
オランダだって、みんな人は人間くさくて感情的になっていたし、意見の内容もそんなに私たちと違うとは思わなかった。強いて言えば、議論の場ではみんな決して「キレ」たりせずに、どんなにムカついても、必死に冷静でにこやかにふるまっていた点はさすがだと思った。
じゃあ何が違うのだろう? 私が感じたのは以下のこと。
●行政の計画にNO!という多くの市民がいたこと
●地区の議会が全員反対したこと
●反対に対して、柔軟な対応が保障されていること
では日本では?
○NO!という市民はいる。だけど大きな声にならない。
○行政でGOが出れば、議会はだいたい賛成する構図が多い。
○そうなれば、市民の声は流され、計画が延期されるなんていうことはほとんどない。
松本市のイオンの計画にしても、リニアの計画にしても、中心で声を上げている人はいるのだ。だけどそれが広がらない。「他人ごと」で終わる人の多いこと…大多数の人が無関心であり、諦めてもいる。
諦める気持ちもわかる。行政の計画はいつも一方的で、議会も含めて、あちら側はすでに話ができていている。パブリックコメントは形だけのものばかりだもの。言ってもムダだと、思うことばかりだ。
それに、年度の予算で遂行しなければならないことばかりで、延期になることはほとんどない。
それに、ああ、この映画が示しているように、民主主義ってめんどくさい!
でも、戦争につき進むより、どれだけマシだろう。平和ボケなんて言われようとも。
アブナイ国にならないために、私たちがもっている今現在ベターなもの(マシなもの)は、「民主主義」しかないのだ。民主主義の欠点なんていくらでもある、でもゆずれない利点があるのだということ。
日本でだって、風穴をあけられるところを探したい。そこを諦めてはいけない、きっと。