上田市のいちばん北東部、菅平牧場から登る根子岳に登りました。
根子岳の標高は2,207m、菅平牧場に登山用の駐車場があり、そこが標高1,600mなので、比較的登りやすい山です。
歴史としては、昭和になって菅平牧場が開かれ、最盛期には頂上まで放牧されていたとのこと。頂上周辺は風衝地でもあるためそのまま森林が発達せず、また岩場など厳しい条件のところもあることから、いくらか高山植物も見られます。標高約2,000mの美ヶ原も同様の歴史と植生をもっていて、森林限界ではない(高山帯ではない)のに森林が成立していません。このような植生は「擬高山帯」と名付けられています。
根子岳は今はずいぶんササの海が広がっていますが、数十年前はクロマメノキなどが一面にあり、実の季節には山のように野生ブルーベリーが採れたそうです。
これはヒトツバヨモギ。ほかのヨモギのように葉が裂けていません。なんだかほっそりとしていて、下界のヨモギとは雰囲気も違います。日本海側要素の植物です。
下の植物は、クロマメノキ。日本のブルーベリー。実は「クロ」ですが、葉っぱはシラタマノキより白っぽい。
こちらがシラタマノキ。クロとシロ。こちらの実は白っぽいのです。
下はシラタマノキの花を下からのぞくと…とっても狭い入り口の向こうに雄しべが見えます。
訪れることができるお客さんは限られていますね。クラブ制になっているようです。ターゲットは蟻なのかしら。
ヒメシャジン、若いつぼみでした。
頂上の方では、厳しい環境のために矮小化した個体がもうすぐ咲きそうでした。
菅平といえばカラフトイバラ。ちょうど花期でしたよ。
花の濃い方はたぶんタカネイバラ。
葉っぱを並べてみると違いがわかりましたが、葉の裏の毛まで見なかった!ちゃんと確定できず、ざんねん。
ノビネチドリ。このあと見たハクサンチドリとともに、わりとよくあるランです。
こちらがテガタチドリ。
花もひとまわり大きくて、花といい、花の下の苞葉といい、なんだかつんつんしています。
ダケカンバの林を抜けて、頂上近くなってきました。ササが優占。菅平を見下ろします。
頂上の岩場の影に生育していたのは…舌状花の枚数が多いから、タカネニガナ。
樹林の下はずっとニガナが咲いていたのですけれど。
ミネウスユキソウ。
イワオウギ。長野県では全県に分布する高山植物。
この景観、美ヶ原に似ています。
スノーボードが大好きな地元の人たちは、ここを滑り降りるんだって!
いっしょに行った地元の友人は、「裏山で気軽に登るんだよね」とトレッキングサンダルといういでたち。彼女の軽快な足取りに驚きつつ、つい私もつられてどんどんと登っていきました。
花を見ながら、頂上ではさわやかに風を受けながら、それでもお昼すぎには駐車場に戻ってこれたので、やはり気軽に登れるといえそうです。今度は違う季節に、四阿山にも行ってみたくなりました。