ヨセミテからLAへ…2人の女性のこと

By siki, 2019年12月22日

アメリカ、前半の冒険的なひとり旅では、今思い返してみると、過剰すぎる先のわからない心配も含めて、ひとり旅でしか味わえない宝物のようなできごとばかりだったと思う。

なかでも、私がヨセミテ歩きをスタートさせた朝、出会ったカトリーナ。60代くらいの女性で、ロサンジェルス近くの別の町からひとりでヨセミテを楽しみに来ていた。

彼女とは偶然、宿だけでなくて日程も一緒で、3日間のヨセミテ通いの朝夕のバスでときどきいっしょになった。不安になっている私に、「だいじょうぶ、ひとりでもリラックスして、とてもすばらしい時間が過ごせるわ」と大きな安心感を与えてくれた。

彼女も私もひとり旅を楽しみに来ているので、行き帰りにいっしょになったときだけ、どこを歩いたのよ!とお互いに報告しあった。その距離感もよかったな。

 

最後に宿を去る朝、今日こそはゆっくり朝食を食べようと、宿のレストランに行くと彼女は食事を終えて、窓辺で本を読んでいた。

挨拶だけして、私は違う席で食事をしてコーヒーを飲んでいると、彼女がやってきてくれて、しばらく話をした。

電話で何やら難しい話をしている場面があったのを思い出して、何か仕事をしているのですか?と聞くと、教会の組織に所属していて、ホームレスの支援をしているのだという。

ホームレスの方に食べさせたりシャワーを浴びさせたりするだけでなく、社会に対してすっかり自信をなくしている状況から仕事に就けるようにサポートしているのだと。彼女が読んでいる本を見せてもらうと、ガンディーに関する著書だった。

彼女はとてもフレンドリーで素敵な人で、私が英単語の意味がわからないでいると、「Well…I’ll try to explain!」といってジェスチャーを交えて説明してくれたりした。彼女とは結局、ヨセミテから移動するバスと電車もいっしょだったが、そこでのハプニングでも助けてもらったのだった。

私にとって、彼女はまさに『アメリカの良心』ともいうべき人。彼女のチャーミングな佇まいを私は一生忘れないだろう。

 

さて、4日間もお世話になったかっこいいYARTSバスに別れを告げて、アムトラックに乗る。

 

いよいよ

旅の後半、ロサンジェルスへ!

 

 

 

バスの中から、ロサンジェルス近い郊外で、まさに消火活動まっただなかの火災を目撃した。丘の上には住宅が…!

ちょうどこのあとくらいに、今までにない規模の火災がロサンジェルスで起こった。

例年にない乾燥が原因のようで、世界で起こっている気候変動の影響を実感したのだった。

 

・・・・・・

ロサンジェルスで待っていてくれたのは、この旅のきっかけをくれた、私の大学時代の親友。ほんとうに私たちは仲が良くて、2〜3年くらいまではかなりいっしょの時間を過ごし、いつもたくさん話をしていた。なんの話をしていたかはほとんど忘れちゃってるけれど。

大学卒業してからは、それぞれの道に進む形でなんとなく疎遠になっていて、年に1回、クリスマスや誕生日にメッセージを送ってたくらい。

昨年、彼女から、5月に結婚をするのでパーティに招待したいと連絡があった。それはとてもうれしいニュースだったけれど、そのとき私は「まさか、とても私、アメリカまで行くなんて無理!」と思っていた。

でも彼女が、このままおばあちゃんになっちゃうかもね、って軽く冗談で言ったことばがなんとなく心に刺さり、私は、それはあまりにも残念すぎる!!と思ったのだ。

そして秋、アメリカに行くことを決めた。ちょうど一年前くらい。

彼女と会うのは、なんとほぼ25年ぶり!

・・・・・

 

18時ごろ、彼女とバスセンターで再会した時、私はうれしくて泣いてしまった。

彼女の家に行くと、ダンナさんのAdamがいてごあいさつ。お世話になります。

大規模施設の内装デザインを仕事にしている彼女のお家はとてもすてきだった。インテリアや置いてあるモノのそこかしこに、私がよく知っている彼女のセンスと同じ輝きが宿っているのがわかる。(ちなみにアメリカでも大人気のこんまりさんの片付けを2人ともやってみてるとのこと。)

さっそく夕食はどこにいこうか? 私がヨセミテではちゃんとした温かい食事はあまり食べなかった、といったら、「おいしい料理をぜひ食べてさせてあげたい」と言ってくれて。

 

連れて行ってくれたお店はアメリカのロードムービーに出てきそうなダイナー「Cindy’s」。

私はボリュームのあるフライドチキンの一皿をいただいた。久しぶりの温かくおいしい夕食!

 

 

 

この翌日から旅の後半3日間、彼女は私の行きたいリクエストに応えながら、楽しんで付き合ってくれた。そして同時に、とまらないガールズトークを繰り広げ、タイムスリップしていろんなことを思い出して大笑いしたり、お互いの25年間のいろんなことを思いつくままに話した。

ああ私たち、それぞれに幸せだね。そのことをお互いに祝福し、今回の再会を心から喜び合った。またきっと日本で会おうね!

 

こちらは、友人宅のおじいちゃん猫テンプラ。

とても人懐っこくて(我が家のみかんとは大違い!)、用意してくれた私のベッドにやってきて、「もう寝ようよ、先に寝るよぉ」と言いたそう。

 

ありがとう、おやすみ。