安曇野の水フィールドワーク

By siki, 2015年9月12日

水ジャーナリストの橋本淳司氏をナビゲーターに、安曇野の水について学んだ半日。

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ここは明科の長野県水産試験場。信州サーモンなどの稚魚を育てています。

表流水では病原菌が多いため、地下水を利用しているそうです。

水路に絶滅危惧種のエビモが生育していました。

 

 

 

高瀬川と奈良井川が犀川に合流するあたり、押野崎。右手から高瀬川が入ってきています。連日の雨で水かさが増して、水も濁っているようです。

ガイドの方が、扇子を広げて見せて、「槍ヶ岳を頂点に、南は梓川、北は高瀬川に囲まれた広い扇状地が安曇野です」というざっくりとした説明をされたのですが、なるほど!と腑に落ちました。

 

湧水の澄んだ水に、ノコンギクとユウガギクが華を添えています。

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久しぶりにヒガンバナを見ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

下は1日の湧水量が7万トンもある湧水公園。バックに見える緑の植物が気になったガイドさんに聞いたところ、やはりオオカワヂシャ(川辺で問題になっている外来植物)!

しかもNHKが「おひさま」のロケのために、植えたのだと。まったくがっかりです。こんなことは外来生物法でも禁止されていることなのに。

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おもしろかったのは、これ、ヤナギの根なんですって。サンゴみたい!とても美しい。

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そして藤縄先生の研究施設へ。地下水を利用してイチゴを栽培しています。  P9125731

ここでのポイントは、冷暖房に地下水を利用しているということと、温度管理は株の成長点をポイントにやっているということ。このような地下水の利用は、排熱によるエネルギーロスがほとんどなくて、しかも地下水は循環させています。

イチゴって、冷涼に保たれていれば、1年中花実をつけるとは!驚きです。

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ビニール袋には穴が開けられて、涼しい風が成長点に向かって吹き出しています。

 

 

 

 

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その下には潅水パイプ。

温度を均等に保つために、10分毎に流れを逆方向に変えているのだそうです。

 

 

 

 

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温度管理はばっちりです。

ズームカメラもついていて、パソコンからひとつひとつのイチゴが見られるくらいまで近づけてチェックできるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

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こちらはトマトのハウス。

こんなに少ない土で!

「少しいじめてあげると、甘くなるんですよ、人間もそうかな?」

「いえいえ!」

 

 

 

 

 

 


 

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またこのイチゴの甘酸っぱいこと!信大で開発されたイチゴで、とても甘い香りがするのです。

このイチゴをいただきながら、藤縄先生のお話を伺いました。

 

 

 

地球温暖化の話は改めてその驚異を再認識。最近の豪雨災害もまさに地球温暖化が引き起こしていることです。こういう話は定期的に聞いたり、読んだりしなければと思いました。

一方で安曇野の地下水利用の新しいルールは、科学に基づいて利害関係者も含めて合意がなされた画期的な内容で、大変興味深かったです。冬水田んぼなどの取り組みがどんどん広がることを期待しています。

私からの質問は、行政の人たちをどうやったら目先のことから長期的なビジョンに意識を変えることができるのか、と。

藤縄先生の答えは、今の行政システムでは無理だということでした。業務の内容を把握したりマネジメントできるまでに2〜3年かかるが、そうすると異動となる。欧米では、公務員でも退職するまで同じ部署で、その分野のエキスパートを育てるというやり方をとっているが、日本では皆無。しかも隣の部署のことはまったく関知しないという見事な縦割りとなっている、というのがその理由でした。

そうですね、そこに期待しても無理なんですよね。しかし振り返ってみると、今日の参加者の方々には、行政の職員さんや市議会議員さんなど、行政と関わって、少しずつでも変えようとがんばっている方がいらっしゃった。橋本さんも藤縄先生も。やはりあきらめてはいけないのだろうと思う。

しかし、変わってきている自治体も出てきているし、自治体に期待してばかりではなくて、企業も市民も、持続可能なコミュニティに向けて、がんばらなければです。がんばっている方々とも知り合えたし、学びと希望をいただいたフィールドワークでした。