盛夏に訪れた王滝村ウグイ川。
国有林内にあり、ウグイ川にそって林道を歩いて行く。
日差しは強く、緑陰の濃い影に包まれながら。
ヒノキかサワラの大きな切り株。
天然更新のダイナミズムを目の当たりにする。
大きな木が倒れ、そしてそこにギャップが生まれる。ラッキーな若い命が光を浴びて勢いを増す。
切り立った岩肌も多い。樹木たちにとっては過酷な環境だろう。
これが木曽の地質であり、そこに日本一といわれる木曽五木の森が成立しているのだ。
森林鉄道の名残を見つけた。
ああここはそれほどのヒノキやサワラの産地だったのだ。
おそらく江戸期から続く…..
森林鉄道の時代にはどれほど賑わい、そして多くの樹木が伐られて運ばれたことだろう。
今も残るここの樹木を見ると、保護されてきた他の森よりも、樹木の直径は大きくない。
江戸の頃は、きっとこのウグイ川を利用して木材が運ばれていたことだろう。
これは河原沿いのヒノキの樹林。
大きさがまちまちなので、おそらく天然更新だと思う。
人為的な誘導もあるかもしれない。比較的若い木が多い。
クサギの花に吸蜜にやってきたミヤマカラスアゲハ。
なぜか生き物の影が少なく、ほっとする場面。
圧巻だったのが、清流の澄んだ碧さ。
そしてほんの数十メートルだけ、両岸に迫った崖が流れを迎える。
岩を流れ下る水しぶきの音を聴きながら、
計り知れないほどの長い時間をかけてつくられた、この幻想的な自然と一体になる。
なにもかもがこの澄んだ碧い流れにとけてしまうような感覚。
精霊の存在さえ感じるような。