世界を広げられたら、それは旅だと思う ①

By siki, 2020年9月24日

連休中に、車でほんの2時間ばかりのところに住んでいる友人とそこにつながる方々を訪ねた。私の友人のカズミさんは、私の世界をいつも魅力的に広げてくれる人。

家に戻ってきて感じたのは、遠くに行かなくても、新しい世界を体験できたとしたら、それは旅なんだなということ。

 

まずは

大学で建築を学び、この春から建築会社に勤めだした長女といっしょに、東御市でセルフビルドの自宅をつくっているフランス人のバンゲさんのところへ。

長女は3年前にも一度お手伝いしているのだが、3年経ってまだまだビルディング中!これはもう、家づくりのプロセスを楽しんでいるのだなあと思う。

 

バンゲさんの話を聞いているうちに興味が出てきてしまい、私も午前中お手伝いすることに。

この日は初期に施工した土壁を剥がし、新しくバージョンアップした土壁を塗るという作業。うまくいかなかったら、やり直ししてもいいんだよね、と。

 

 

午前中はせっせと土壁剥がしたり、剥がした土をふるいにかけたり、土の間に塗り込むコーヒー用のごつい麻袋の縫い目を外したり。

土壁の材料は近くの粘土質の土を使い、稲わらなどの繊維質を混ぜてつくる。

 

 

 

フランスからやってきた19歳のシェフの青年が泊まりに来ていて、いっしょに作業する。北海道の三ツ星レストランで働いたり、自転車で野沢温泉から熊本まで行ったり、なんともエネルギッシュな若者だけど、とても落ち着いてにこにことして控えめでよく気が効く!

お昼ご飯はその青年シェフが、お庭で収穫したお野菜で野菜ランチをつくってくれた。

近くに住むガーデナーのワクイさんをお誘いしたら、お昼前に丸ナスを持って現れて、キッチンでナスの一皿をつくってくれて、いっしょにランチでいただく。小さい頃の母が作ってくれたおやつだったんだよ、と。野菜はどれもとてもおいしくて、不思議な満足感がある。

 

ここはいろんな人がやってきてお手伝いしてつくりあげていくスタイルのおうちなのだ。自分ができることを提供してシェアする。

私は、これからのために家の周りの樹木のことを知りたいとのことだったので、いっしょにみてまわって樹種やどんな花や実がなるのかなどをお伝えした。バンゲさんは植物にも興味があって自分なりに調べておられたようで、とてもよろこんでくれた。

「この暖炉は、フランス人がオープンソースで設計書をインターネットで公開しているんだよ。」「この前師匠がきてこの階段を作ってくれたよ。」「スーパーなどのお肉は安く買えるけど、そのことで環境にとても重い負担になってる。生産過程が不合理的で環境破壊につながっているから、自分にできることとを考えてお肉を控えることにしているんだ」……….彼はすべてにおいて、ひとつひとつ地球環境に配慮した判断をし、行動している。

 

いろんな話をしながら実際に体を動かしていると、彼ほどは無理にしても、でも、私にもできることがあるのではないか、と思えてくる。

人の繋がりかたも素敵だ。もちろん協力にあたっては事前に連絡を取って了解を得てからいくのだが、作業の進め方はとても柔軟ともいえる。作業も、あるものをいかに活用してやるか、工夫が満載である。

なるべくきちんとオチのないように準備しなくちゃ!と思いがちな日々を振り返って、そっちのほうがおかしいのではないかと思えてくる。

 

本職は牧師のバンゲさん。「今日はよいエコ布教ができました。」と冗談を言ってたけど、もっと多くの人々が、自分の選択のベースに自然環境への配慮があるなら、社会はもっと変わるだろうと思わざるを得なかった。

彼のように多くの人が関わることのできるプロジェクトなら、その影響は波紋のように広がって行くだろう。

そして、ただ知識で知るだけでなく、自ら体験し体感することは、自分の中に大きな変化をもたらすのだな、と感じた。バンゲさん、どうもありがとうございました。