小石川植物園 その2

By siki, 2016年3月4日

さて、2月中旬は梅が五分咲きでした。

梅はかわいくて、桜よりも香りがありますね。いろとりどりの梅たち。P2167545_2P2167547_2P2167548_2P2167551_2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奈良時代までは、花見といえば桜ではなくて梅。万葉集の歌も梅のほうが多いのです。

桜が有名になるのは、平安時代から。

鎌倉時代の頃は、その桜のはかなさに人々はすっかり心を奪われていたでしょう。

… ねがはくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月の頃 … 西行

さてウメ林に隣接した湿地には、ハナショウブ。この札は品種名の札のようです。すごい数!

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ここは針葉樹の林。本州中部地方にしか分布していない、珍しいヒメバラモミなどもあります。

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次はスズカケノキ 属名はPlatanus(プラタナス)。

明治9年に植栽された最も古いスズカケノキのひとつなのだそうです。

樹高は30mもあるのではないかと思うほどのすごい貫禄と枝ぶり!

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街路樹でよく使われているのは、このスズカケノキ(欧州〜西アジア原産)とアメリカスズカケノキ(北米原産)の雑種であるモミジバスズカケノキ。ああ、ややこしい…

落葉をみると、たしかに葉っぱがとんがっていて違うのがわかります。

 

 

マンサクの花も満開でした。こちらはアテツマンサク。

寒さが残る中に咲くマンサクは、はかなげな花弁になんとも風情があります。

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さて、梅につづいて、美人さんたちのご紹介。

椿、属名は Camelliaというので、私はカメリアのお嬢さんたちと呼んでいます。

日本にはユキツバキとヤブツバキが分布していて、江戸時代から品種改良がさかんに進みました。

ツバキ園にいろんな園芸種が植えられています。ここのはすべて日本の園芸品種かな。

ヤブツバキの学名 Camellia japonica 名付け親はリンネです。

17世紀から18世紀にかけて、日本にやってきたヨーロッパ人達によって日本のツバキが紹介され、種が海を渡ります。バラとは違う華やかさをもったこの花はヨーロッパで大人気となり、18世紀ごろから園芸品種がたくさん生み出されていきました。

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クスノキが梅園を守るように枝を広げているのがとてもいい雰囲気でした。

ツバキは、森林の下層に自生するので、あまり日差しが強いのは苦手なのでしょう。

このクスノキの幹は人が2人がかりで手を伸ばすほどの太さでした!

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北米原産のマツ科、メタセコイヤ。20本ほどで、小さなメタセコイヤ林となっています。

幹周りは30〜40cm、まだ若いですが、大きくなるとどんな貫禄が出てくるのかな。

てっぺんに鳥の巣みっけ。

 

 

 

 

 

 

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こちらも北米原産のマツ科、ラクウショウ(ヌマスギ)。

ヌマスギというなまえの通り、湿地に生育するそうです。でもスギじゃなくてマツ科。

葉はメタセコイヤに似ていて落葉性。

湿地に植えると、幹の周りに呼吸のための呼吸根(気根)が出てくるそうですが、おもしろい…

 

 

 

 

 

 

一周りしてきて、再び入り口で待っていたのは、バショウ(バショウ科)の枯れた後。

琉球諸島での芭蕉布の材料となるバナナに似た葉をもつ植物ですが、東京でも育つのですね。

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私が滞在したのは、午後の3時間ほどでしたが、落葉期なのに、このおもしろさ。

緑の頃はたぶん1日では足りないだろうなあと思いました。またぜひ緑の季節に。