私の絵本のベスト5をあげよと言われたら、迷わず、ピーターラビット・シリーズはその中にはいるだろう。そのくらい、このお話は深く私の心をとらえている。
なんとなくその絵が好きで高校生くらいの時から絵本を少しもっていたものの、その魅力に開眼したのは、子どもが産まれて、幼い彼女たちに読み聞かせをしたとき。
ビアトリクス・ポターのなんともいえない、独特のセンス!!
絵もかなりすてきだが、絵よりもむしろ、私はお話に脱帽なのだ。
この短いお話の中に、それぞれの動物たちがもっている本能的な性格や、彼らが棲まう環境をしっかり織り込みながら、人間たちのやり取りを反映したように物語が紡がれる。
登場する動物たちはそれぞれにいっしょうけんめいなのだが、どこかおかしみがあって、そしてポターのあたたかい眼差しを感じる。イギリス特有のナンセンスも光ってる!
どうしてもやることが「いたずら」になってしまう子猫や子うさぎたち。
女性たちの体裁を保とうと必死のティータイムとか。
ずる賢いキツネや太ったネズミたち、彼らにだまされそうになりながら、なんとか決死の覚悟で逃げる弱いものたち。
ほんとうに、どのお話もすべて、光を放つ朝露のようにきらきらとしている。
イギリスの児童文学の魅力は、それぞれに独特の世界があり、多様だというのを聞いたことがある。
たしかに、そうだなと思う。私は独特の世界観をもつグリーン・ノウやメアリーポピンズの物語が大好きだった。
先週、私はそんな大好きな世界の原画を眺め、ポターの筆致に浸る、幸福な時間を過ごした。
ポターの生誕150周年を記念した原画展に行ってきたのだ。
お話の舞台となった、イギリスのニア・ソーリー村はずっとあこがれの地だった。
ビアトリクス・ポターがナショナル・トラストに寄付した土地と建物がそのまま残されている。
いつか行きたい、と思っていたけれど、じっくり半日、原画といっしょに過ごしたら、なんだかもう満足してしまった気がする。
それより、また絵本をゆっくり読みたいな。
ハーブティーと一緒に。
企画展の冊子はとても装幀も凝っていて、大満足。
隣接するカフェでは、すてきな植え込みがつくってあった。