あの火山がつくった絶景の中に降りていって、
人間の時間をはるかに超えた時間軸で形成された湿地を訪れた
そこには
乾燥化が進んでいることを教えてくれるヨシが、どんどん茂りはじめていて
この湿地が乾燥して、ついには笹の海になるのではないかと
遠い未来を描いて、私は恐れを感じた
それは、私たち人間が開発や気候変動を進めているせいではないかと…
でも、
100年後、いいえ、明日かもしれない
もしかしたら、この火山が噴火して、あたり一面が厚く火山灰に覆われるとしたら
私のこの未来予想はこっけいな妄想となる
この乾燥化は、長い長い歴史の中で瞬く一瞬のできごとなのかもしれないのだ
地球のダイナミズムは
私たちの的外れな自然保護の感傷を吹き飛ばす
火山が噴火すれば、
はるか長い時をかけてつくられた泥炭層も、ミズゴケもモウセンゴケも
一瞬で死の淵に追いやられるだろう
でもそのあとに
きっとまた新しい窪地が生まれ生命が誕生し
はるか長い時をかけて、新たな湿地の生態系が創造されるだろう
こんな貧栄養に生きる地衣類や蘚苔類たちが少しずつ植生をつくっていくのだろう
何億年も前から大地がそうしてきたように
それは、私たちが決して予測することのできない、いつか
私たちは、ただ、この一期一会のかがやく瞬間をしっかりとみる
ほんとうは、それだけしかできないのかもしれない