Spreewald シュプレーの森

By siki, 2025年10月1日

今回の旅では、どこでもいいので自然保護区や国立公園になるべく行ってみたいという目的があった。その候補地のひとつが、野生動物の復活が進みヨーロッパバイソンも生息しているという国立公園だった。

しかし、それまでずっと夏にしては気温が低めだったのに、急に最高気温34℃と暑くなってしまったため、草原地帯を歩くのはハードでやめたほうがよいとアドバイスいただいた。その代わりにここへ行ったらとおすすめいただいたのが、シュプレーヴァルトという自然保護区である。

シュプレー川沿いを歩くコースで、列車のひと駅分を、川と森を観察しながら歩こうという計画を立てた。

降りた駅はRaddusch(ラドゥシュ)村。ここは9世紀にスラブ人が定住したという歴史をもち、その伝統を大切にしている地域である(紹介HP)。女性の頭につける広がった布は民族衣装の特徴のひとつだとか。

Raddusch村の案内図、観光地になっているよう

 

村の入口にはちいさなかわいらしい小物売り場が。

 

 

 

 

 

 

 

馬車に乗れるという看板

 

 

 

 

 

 

 

 

村を通り抜けてシュプレーヴァルトの森へ。

ここはサイクリングロードでもあるようだ。

 

 

 

シュプレー川と川沿いの道、ここを歩いていく

カヌーを楽しんでいる人もみかける

道はこんなかんじで続いていく

ところで、この川岸の植生は、こちらよりも緯度が高く乾燥しているから草木が生えない、というわけではなかった。人の背丈くらいの藪になるから、川辺や道の周辺はしっかり整備されている。上の写真3枚をよくみていただけると、読みとれると思う。

どうやって?と思っていたら、対岸側で、ちょうど重機で整備しているようすをみることができた。

実はこの重機は下草刈りだけでなく、ちょっとした低木もバキバキ、ガーッとなぎ倒していく。人手と時間をかけない、こんなおおざっぱな手入れは日本ではやっていないなぁと…思わず動画も撮った。

広大な草地はよくみると、湿地帯であった。川沿いのあちこちにこうした湿地がみられた。

この湿地と泥炭の形成に関する解説版(解説HP

この湿地とシュプレー川の起源は、最終氷期の融解にまでさかのぼる。もともとはさらに広大な氾濫原の湿地だったようだ。湿地では有機物が分解されずはるかな時間をかけて蓄積され、泥炭層を形成している。

そして、人々がこの湿地の水位を下げてなんとか土地利用を進めてきたこと、泥炭を発見し、採掘が行われてきた歴史も。

その結果、湿地はかなり縮小し、現在は、残っている湿地を自然保護区として保全しているとのことである。しかし泥炭採掘は、水質汚染を引き起こし、川の水量にも大きく影響しており、今日もやっかいな課題を残していると書いてある。

 

さてここで、川沿いの植物たちをご紹介。

もっとも多く見られたのはヨーロッパハンノキ。川沿いの優占種といえる。

 

 

 

 

 

 

 

しだれたヨーロッパシラカバ

これは1列になっていたので植えられたものかもしれない。

 

 

 

 

 

 

ヨーロッパハシバミ。

これがまさにヘーゼルナッツ。

 

 

 

 

 

 

 

クサノオウ。

日本のはアジアの変種とされる。

Chelidonium majus subsp. asiaticum

 

こちらが基準変種というわけ。同じオレンジ色の汁だったよ。

 

 

ヨツバヒヨドリ。

 

日本と同じ仲間の植物たちをみつけるのはとてもたのしい。

 

 

 

 

 

 

さて、1時間ほど歩いたところあたりから地図を確かめると「え、まだここ?とんでもなく先は遠いじゃない…」ということがわかってきた。

 

この日当たりの良いところあたりでは、暑くて疲れて、だんだん持参していた水も少なくなり、げんなりしているあたり。

 

ドイツ人のAmadが苦笑いしながら、「だんだん『暴力の行進』になってきた気がします。」と言った。説明しなくてもわかる、ぴったりの言葉。

暴力の行進…つらい…

でも前に進むしかない。

 

昔、製粉所だったところ。水車がある。

私たちは暴力の行進中、となりはのんびりした放牧地

川と森を離れて、ボブリッツ村を通り抜ける。

いかにも古そうな建物が並んでいる。多少傷んでいてもレンガ造りの建物をほんとうによく残している。古さに価値があり、大切にしていることが伝わってくる。

この感覚がヨーロッパなのか、と体感した気がする。

そして村にはお店らしきものもみない。派手な看板などもってのほか。田舎は田舎らしく、ということなのだろう。

 

こちらは柵がかわいかった。

 

ドイツの田舎は、メルヘンの国ということもあるのか、どのお家もたたずまいになんとなくかわいらしさがある。

 

 

 

この農家では、はちみつを売っているみたい。

木陰のニワトリたち、のどかな風景。ここのレンガも古そう

 

さらに小麦畑を通り抜け…

 

 

 

 

 

 

 

やっと幹線道路にたどりつき、もうひといき、というところで、工場建設工事のために歩道は行き止まりになっており…

 

 

 

 

 

 

しかたなく、本来は歩いてはいけない車道の脇をしばらく歩いた。ドイツでは、非常に交通ルールが厳しいとのことで、車道、歩道、自転車道はきっちり分けられている。

そしてようやく駅のある町Lübbenau(リュベナウ)に到着したのだった。

 

 

当初の計画では2〜3時間というはずが、なんと5時間半ほど歩いた。この日の歩数は2万6千歩(!)

「だからドイツ人のだいじょうぶっていうのを甘く見ちゃいけないって、ほんとこのパターンってあるのよ!やっぱり今回も!」とMei。なるほど、こうやってドイツ人は鍛えられているんだね。